【公務員とインフレ】 公務員はインフレ恐怖症に罹患しているといえる。なぜなら給与を貨幣で受け取っている限り、インフレによって多大な損失を受けるからである。すなわちインフレとは貨幣価値の下落を意味する。
政府全体としても、税を貨幣で徴収し、予算を貨幣で執行する限り、インフレ恐怖症的な性向があることは否定できない。逆に言えば貨幣価値の上昇を意味するデフレは、政府にとって歓迎すべきことだ。なぜなら貨幣価値が高ければ、同額の予算で多くの人々を働かせたり、多くの物資を調達できるからである。
【蓄銭叙位令】 奈良時代に蓄銭叙位令(ちくせんじょいれい)といって、貨幣の普及促進策が取られた。それはどうしてかというと、「こんな、煮ても焼いても食えないような銅銭を受け取ったからといって、大切な物資を手渡すわけにはいかない」ということで、国民が貨幣を手にすることを嫌ったからである。それで「貨幣を一定数保持したものには、公務員の位を上げる」との政令を出すことにより、いわば貯金を奨励した。それでも貨幣の普及が十分ではなかったため、江戸時代まで公務員、すなわち武士の給与はお米で支給されていた。
このことからも、貨幣価値は自然発生的又は天賦のものではなく、人工的又は意図的な産物であることがよくわかる。逆に言えば貨幣価値の上下、言い換えればインフレやデフレは政策によって起こすことが出来る。
【不景気とデフレ】 貨幣価値が高いと、人々は貨幣を保持しようとする余り、消費を控えるようになる。その結果不況が懸念される。こうしたデフレ不況を打開するためには、インフレへの目標を設定しなければならない。「物価は将来必ず値上がりする」という意識が、人々を消費に向かわせるからである。
そういうインフレ・ターゲット政策を実施する上で、公務員及び年金生活者のインフレ恐怖症が邪魔となることは言うまでもない。つまり公務員が貨幣によって給与を得ている限り、インフレ目標は反対論にさらされる。ちなみに年金保険料を負担したり、年金を受給することは公務の一種である。