【時代の変革】 今日本は家電や自動車など大手製造業が軒並み苦境に立たされている。近代の産物としての家電や自動車に対する憧れの低下に伴って、消費者が価格に対し厳しくなり、逆に言えば「見えない出費」をしなくなったからだ。要するに良い意味でも悪い意味でも、自動車や家電は実用化した。
それに加え、慢性的な円高現象により、輸出にも依存できなくなった実態がある。そのため貯蓄が底をついた暁には、大手製造業が倒産する危険性に直面している。これは戦後以来の革命的な現象だ。
今後の日本は製造よりも文化の輸出とか、あるいは資本の輸出などで生計を立てなければならない。そのためには、かつてのような「工場自動化」から「事務自動化(オフィス・オートメイション)」へと人材を大幅に移動させなければならないだろう。その際はコンピュータを使う人材が圧倒的に足りない。
【ハローワークと人材】 旧来のような、新規学卒者の一括採用及び終身雇用が一般的だった時代には、端的に言ってハローワークなどの職業安定化業務は日陰の身だった。つまり終身雇用に漏れた者が利用する「特殊な場所」という印象は免れなかった。
しかし昨今では人を長い時間かけて教育する余裕を、各企業は失った。それよりもむしろ転職者などの即戦力を人材として希望するようになった。そいいう、過去の経験を重視する求人が増えれば増えるほど、ハローワークなどの職業安定業務の職責が増す。
以上のような状況を総合すると、職業訓練などにおけるコンピュータの指導が如何に重要かが分かる。つまり文化や資本の輸出には、理科系よりも文化系の人材こそ、コンピュータが必須となる。工場労働者も今後はパソコンを使いこなせなければならない。
いまハローワークでは、タッチパネル式の画面が用意されていて、求職者が求人を探索する仕組みになっている。その一部についてキーボード式のコンピュータを導入すれば、わざわざ別個に職業訓練などしなくても、自然にキーボードに親しむことができる。これは一石二鳥だ。人の集中力を引き出すのはもともと簡単ではない。コンピュータに馴染めない者にとっても、コンピュータの操作を習うことへの集中力を高めることは決して容易ではない。しかしたった一個だけ、人が集中力を発揮する場面がある。それが何かを探している時だ。
求職など、何かを探している瞬間はそれまでコンピュータに馴染めなかった人がキーボード操作に慣れる絶好の機会だと言える。